労務ニュース

第7号 働き方改革について その12018-02-07

~はじめに 働き方改革の目的~

「働き方改革」という言葉を、テレビや新聞、インターネット等でよく目にするようになりました。
昨年の3月に出された実行計画によると、働き方改革は8つもの労働に関する法律の改正を行う、大掛かりなものになりそうです。
働き方を変えることで、人々の暮らしそのものも変え、ひいては社会全体を変える。
現代の多様な働き方に対応しつつ、健康を確保し、仕事と家庭の両立ができる社会を実現するという、なんとも壮大な目的です。
労働基準法の改正は上記の目的を達成する為の、改革の目玉のひとつと言えるでしょう。
今回はその中の長時間労働の是正について、スポットを当ててお話します。

~労働基準法改正 長時間労働の是正~

【時間外労働の上限規制】
長時間労働を是正する為に、労働基準法の一部改正による時間外労働の上限規制等を導入する案が、以下に記載する内容で今後提出される予定です。
これまで、厚生労働省の告示であった時間外労働の上限基準を法律に明文化することで、罰則も適用され、法的拘束力がより強まります。

<原則>
・週40時間を超える時間外労働の限度を、月45時間、かつ年360時間とす る
 ※1年単位の変形労働時間制を導入している企業は月42時間、年320時間
<例外>
・臨時的な特別の事情がある場合として、労使合意の上、原則を超えた上限で協定を結ぶ、いわゆる特別条項付きの協定を締結する場合においても、年720時間を上回ることはできない
 かつ、
 休日労働を含み2ヶ月~6ヶ月の平均でいずれにおいても80時間以内
 休日労働を含み、単月で100時間未満
 原則である月45時間を上回る回数は年6回までとする

これまで告示で示されていた内容に加え、新たに720時間等の上限も設けられました。
告示だったものがそのまま法律の条文になったくらいなら、あまり気にしなくても大丈夫かな…?と、油断してはいけません。
まず条文に加わったことで、協定の締結・届出+遵守がより強く求められます。
そして、案外ややこしいのが今回新たに設けられた例外についての上限です。
これまで、特別条項もつけず、原則どおり協定の範囲内で時間外労働を行っていた企業は、一見問題なさそうですが、実際はどうでしょうか…?
改正後は行政のチェックも格段に厳しくなることが予想されます。チェックの結果上限をオーバーし、是正勧告を受け、改善が見られなければ罰則を受けることになるのです。

~おわりに 労働時間管理の必要性~

今後、労働時間は人材不足と言われる昨今においては、人材確保の条件としてより注目されると考えています。
(人手を確保できなかったことにより倒産した企業が4年前と比較し2.9倍に増加 2017.7.10 帝国データバンクより)
裏を返せば、適正な労働時間管理の実現により、企業としての採用競争力が高まるとも言えます。
この改正法は、現時点では2019.4月(中小企業は2020.4月)の適用を目指しています。
まだまだ時間はありそうに感じられますが、今から動きだすことが必要と感じています。
では会社として、どのように対応したらよいのか・・・?
当事務所に是非ご相談ください。

執筆 文責 社会保険労務士 大塚 亜弓