労務ニュース

第12号 働き方改革について その32018-09-05

働き方改革関連法案が可決・成立されました。
これにより、2019年4月1日から数年かけて
様々な制度が順次施行されていきます

メディア等では
労働時間の上限規制や同一労働同一賃金
高度プロフェッショナル制度等が大々的に報じられていますが
働き方改革その3の今回は
一見目立たないようで重要な
労働基準法第39条(第7項および第8項)の改正
有給休暇の付与義務化について
お伝えしたいと思います

~はじめに 有給休暇の付与義務~
内容はシンプルで
年10日以上の有給休暇(以下、有休とします)日数を付与されている人を対象とし
年5日を、基準日から1年の間に時季を指定して付与しなければならない
というものです

この「年5日」は、本人が自ら取得した有休がある場合や
会社として既に計画有休が予定されている場合は
これらを含むものとします

シンプルな内容とお伝えしましたが
このシンプルなものが実現できないほど
有休の取得率が全体的に低いことをふまえた
政府の施策と言えそうです

ちなみにこの第39条は
対応を放置すると罰則が適用され
30万円以下の罰金が課される場合がありますので
注意が必要です


<有給休暇の計画的付与>
労働基準法第39条第5項では
労働者が気兼ねなく有休を取得できるようにという観点から
有給休暇の計画的付与
いわゆる計画有休という制度が定められています

これは、有休日数のうち5日を超える部分について
労使協定の締結により時季を指定して付与できるという制度です
今回の付与義務化について、この制度をうまく活用していく方法も考えられます

活用のしかたも様々で
企業全体での付与・部署や班単位での付与・個人単位の付与と
業務の内容に応じた柔軟な方法を選択できます

~おわりに 今後の対応~
まず、社内の有給休暇取得状況を把握することが必要となります
従来からきちんと管理している企業であれば
企業内の管理システム等を確認してみてください
管理体制が整っていない場合は、有休日数管理簿といった
管理システムの作成が急務です

取得状況把握の後
全社での有休取得率が高い企業は今回の改正に対する
特段の対応は不要と考えられますが
基準日の確認等、この機会に今一度行ってください

取得率が低い企業は
先にお伝えした計画有休制度の導入や
基準日から一定期間が過ぎた時点で取得日数が少ない社員へのアナウンス等
有休の取得を促す試みを企業内で検討する必要があります

2019年4月1日以降に付与された有休が対象となりますので
もう1年をきっています
ゆえに、早めの対応が鍵になります

執筆 文責 社会保険労務士 大塚 亜弓