労務ニュース

第9号 無期転換ルールについて2018-03-02

~はじめに~

以前、労働契約法の改正法案が提出されましたという内容の記事をこのHPに掲載しましたが、その後の動きをお伝えすることなく、いつの間にか6年近く経ってしまいました。
本当に、月日の経つのは早いものと痛感しています。
法案提出後の可決・改正を経て、施行から5年を迎える本年が大きな節目となるため、今回は働き方改革をいったんお休みし、労働契約法18条、無期転換についてお話したいと思います。

~労働契約法18条 無期労働契約への転換(2013.4.1施行)~

・2013.4.1以降、同一の使用者との間で締結された2以上の有期労働契約の通算期間が5年を超える時、契約期間満了までに有期契約労働者が使用者に対して申し込みをすると、使用者は申し込みを承諾したものとみなし、満了の翌日から無期労働契約が成立する

上の表にある通り、契約期間の長さによって無期転換申込権発生のタイミングは異なりますが、発生から契約期間満了までに労働者が権利を行使することにより、使用者側の実際の諾否にかかわらず承諾したものとみなされ、有期契約期間満了の翌日から無期契約へ転換されます。

~2018年4月1日以降企業に求められる対応とその準備~

・労働契約法18条施行から満5年経過するのが2018年4月1日のため、この日以降無期転換申込権が付与される労働者が誕生する

無期転換申込権の発生・行使に備え、2018年4月1日を目処に社内的な整備を進める必要があります。
有期だった契約期間が無期になる、イコール正社員になった、というわけではないため、無期転換後の雇用形態、労働条件をどのようにするかを検討する必要があります。

①正社員:無期転換のタイミングで正社員へ登用
→キャリアアップを図りたい社員に活躍の場を設けることができる
→正社員登用へのプロセス(試験・面接等の実施)、登用後の処遇について整備が必要
②多様な正社員:正社員と比較して職種や勤務地等、一部の労働条件を限定した正社員への転換
→正社員と同等の職務内容・能力でありながらも、家庭の事情等で転勤や異動ができない社員に活躍の場を設けることができる
→正社員登用と同様に、転換へのプロセス・転換後の処遇についての検討、さらに多様な正社員に対する就業規則の作成、それに伴う雇用契約書の作成・締結等が必要
通常の正社員および従前の有期契約社員との処遇差について根拠を明確にすることが必要
③無期転換契約社員:期間のみ有期から無期へと転換する
→労働負荷の増加を望まない社員が、業務内容は従前のままで契約期間の定めなく安心して活躍できる
→正社員登用と同様にプロセス、転換後の処遇についての検討、さらに無期転換契約社員に対する就業規則の作成、それに伴う雇用契約書の作成・締結等が必要
通常の正社員および多様な正社員との処遇差について根拠を明確にすることが必要

~有期雇用特別措置法~
(高度専門職・60歳定年後継続雇用の高齢者に対する無期転換ルールの特例)


・高度な専門的知識を有する有期契約労働者、および60歳定年後継続雇用されている有期契約労働者は、その能力を有効に発揮できるよう、その特性に応じた適切な雇用管理を実施する場合においては、一定の期間について無期転換申込権が発生しないこととする特例が平成27年4月1日に施行された

無期転換ルール施行の2年後に、有期雇用特別措置法として上記の特例が設けられました。5年を超えるプロジェクトに、完了までの期間を有期契約労働者として携わる専門職の方や、60歳定年後に有期契約労働者として継続雇用された方等、無期転換のルールになじまない労働者に対し、柔軟な対応を行えるようにするためです。この特例を適用するためには、行政に申請書と共に、対象労働者への雇用管理上の措置としてどのようなことを行うか(能力向上・健康配慮に関する措置等)、その計画書も併せて提出し認定を受ける必要があります。

~おわりに~

無期転換ルールの本格的な始動まで、1ヶ月を切りました。検討すべき事項等がたくさんあり、導入について、つい腰が引けてしまうかもしれません。
しかしこの無期転換ルールを、労働者側の有期雇用に対する不安を取り除き、のびのびと働いてもらえる企業作りのきっかけにしつつ、企業側としても、5年もの実績を積んできてくれた有期契約労働者に新たな選択肢を設けることで、昨今叫ばれている人手不足解消の糸口にしたいところです。
未だ整備が進んでいない、という場合、まずはご自身の会社における有期契約労働者の現状(人数、労働条件、業務量、業務の性質、期待される役割等)を把握した上で、社内的な影響をシミュレーションしつつ、会社としての方針を決めることが大切です。不安な点等おありでしたら、是非ご相談ください。

文責 大塚 亜弓